先輩や上司から「〇〇のポスター、良い感じに作っといて」と頼まれて頭を抱えているあなたに向けてこの記事を書きます。
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今回は、院内の掲示物やポスターを作る方に知っておいてほしいことを書きます。
ちなみに私はデザインや美術の学校に通ったことはありませんし、そうした知識に明るいわけでもありません。
あくまでも文系大学を卒業して、新卒から病院総務として働いた経験にもとづく提案です。
初歩的な情報ですし、専門的な点についてはご容赦ください。
院内で掲示物を作る人について
病院で働いている皆さん、思い返してみると院内ってすごく掲示物が多くないですか?
施設基準や各種届出に関係する掲示から、院内外の研修会のお知らせ、イベントのポスターまであらゆる場所にさまざまな掲示がされていると思います。
その多数の掲示物を誰が作っているかというと、私が所属する病院事務部門をはじめとして、医療安全部門、感染対策部門、各部門の医療職など、ほぼすべての職種の職員です。
そのうち多くの方は私と同様、デザイン等について専門的に学んだ経験はないのではないでしょうか。
そうした人にとって、「掲示物をとりあえず作る」というのは結構なストレスだと思います。
この記事を通してそんな人たちの負担を少しでも軽減できれば幸いです。
まずは私の失敗談から
私も色々な業務で掲示物を作成してきましたが、掲示の効果が低かったり有効に機能しなかった例として、院外の一般市民向けのイベントのポスターがあります。
そのポスターは入職してから間もなく、右も左も分からない中で上司から「〇〇用の募集ポスター適当に作っといて!」という指示を受けて作ったものでした。
期限ギリギリでなんとか完成させたそのポスターによって、参加者が何人増えたor減ったなど定量的な影響は不明ですが、掲示(配布)後の問い合わせの件数からそのポスターが情報告知の面においては不十分だったことが分かりました。
無料で開催するイベントと書いているにも関わらず「有料ですか?」との問い合わせがあったり、申込方法はなんですか?と尋ねられることが何度もありました。
これはつまり、参加料は無料であること、専用フォームから申し込むこと、が伝わっていなかったということです。
すべての問い合わせ内容は覚えていませんが、(こんなことまで聞いてくる!?)といった質問もされた記憶があります。
今思い返しても恥ずかしいほどの失敗作でした。
良い掲示物とはなにか
では私の例とは反対に、「良い掲示物」とはなんでしょうか。
私の考える「良い掲示物」とは、
「伝えたい情報が伝えたい相手に正確に伝わる」掲示物です。
当たり前のようですが、掲示物を作成するときにはその点を意識しないと、デザインはオシャレだけどいまいち内容が伝わらないポスターができてしまいます。
良い掲示物はどう作ればよいか
それでは具体的に「良い掲示物」を作るためにはどうすればよいかを提案します。
よく耳にするものとして「情報を届けるターゲットを選定する」という方法があると思います。
もちろんそれに尽きるんですが、それだけだと分かりにくいので実際の担当者の作業レベルで考えてみます。
時間がない方は(1)(3)だけでも読んでみてください!
※本当に時間がない方はこのサイトだけでも読んでみてください。
(東京都福祉保健局 東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン)
(1)伝えたい情報をピックアップ、整理する
その掲示物で何を伝えたいのかを確認しましょう。
事務部門が掲出するようなお堅い文書(右上に日付、左に宛名、その右に発信者、記~以上、のような文書をイメージしています)はさておき、
その他のポスターを作成するとき、そのタスクは非常に自由度が高いです。
ポスターはタテにするかヨコにするか、文字を入れるか絵を入れるか、色はどうするかなど、作成者のアイデアひとつでいかようにも完成品を変えられます。
それゆえに、どのクオリティのものをどう作ればよいか分からず、結果的に作った本人から見ても中途半端なものが出来上がってしまいがちです。
新入職員であればなおのこと完成品のイメージができず、混乱してしまうと思います(私はそうでした)。
そんな方にオススメなのが「上司にゴールを聞く」という方法です。
多少の違いはあれど、部下が作成した掲示物は上司が目を通してから掲示、という業務プロセスの病院は多いのではないでしょうか。
いかに自分が良い出来と思うものでも、その掲示物作成の指示を出した上司の意図するものでなければやり直しになってしまいます。
労多くして功少なし...誤った方向に突っ走るのが一番効率が悪いです。
ですので、まずは
・上司が最低限盛り込んでほしい内容
・上司が強調してほしい内容
を聞いてしまいましょう。
もちろん他の業務と同じように考えなしに聞くのは論外なので、5分くらいは自分の意見を練ってからいきましょう。
これは私自身も得意ではないのですが、一番いいのは指示を受けたタイミングで必要事項を聞いておくと沢山の情報を引き出せてその後の作成がスムーズにになると思います。
~余談~
「そのぐらい自分で考えろ」と言う方もいるんですけどいざ考えてみるとなかなか難しいんですよね。
私自身も相談される立場になって気づきましたが、後輩から相談された上司や先輩が考えてみたものの意外としっくりくるものが見つけられない、ということもあるあるです。
とはいえ自分で考えることも大切、というのはごもっともなので、あくまでポスター制作に慣れていない方向けのアドバイスと思ってください。
(2)どのように情報を伝えるか 文字編
ここからはデザインについてです。
前述のとおり専門的なことは書けませんが参考にしてください。
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まず文字についてですが、読ませたい箇所は文字サイズを大きくしましょう。
またはフォントを変えましょう。
病院に来る方は、皆さんもご存知のとおり高齢の方が多いです。
その方々にこちらのメッセージを確実に伝えるには、大きめの文字を使うというのは必須です。
また、フォントを変えるだけでもガラッと印象が変わるのでおすすめです。
その他文字に関することとして、小児病棟などで使う掲示物には漢字を使わない、動物や花の絵を使う、などの方法があります。
(これらのノウハウを知る意味でも(1)で挙げた上司に聞くというのは有効な手段です。大抵のパターンは上司も体験しているので。)
掲示物の情報が、見えない、読めない、気づかない、というのは絶対に避けなければなりませんが、その一方で文字を大きくすると掲載できる情報量が減ります。
とすると、情報の取捨選択をする必要が出てきます。
どの情報が重要でどの情報が省略可能かということを見極めるためにも、(1)の方法も用いて最初に目指すゴールをきちんと定めるようにしましょう。
(3)どのように情報を伝えるか 色編
実はこれが今回最も伝えたかったことです。
メッセージ性を高めるために効果的な色使いをしましょう、ということに加え誰にとっても見やすい配色にしましょう。
そこで意識してほしいのが、タイトルにも書いている色覚異常(色覚多様性)の方の存在です。
このブログは医療関係者の方も多いかと思いますので詳しい説明は省きますが、彼らに話を聞くと日常生活で困ることが結構あるようです。
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私の学生時代、友人のひとりに色覚異常の方がいました。
存在こそ知っていましたが、人知れず困っている点も多くあることを気づかされました。
例えば大学の講義中、「緑の黒板に赤いチョークで書かれても見えない」と愚痴っていました。
講師は学生に向けて重要な箇所を強調したつもりが、かえって分かりにくくなる場合があるということ。
もっと印象的だったのは焼肉に行ったときのことです。
しきりに「もう焼けてる?いけるかな?」と聞いてくるので不思議に思っていたのですが、後々聞いてみると「肉が焼けているかどうか分からない」と言っていました。
その他大勢の人にとっては些細な違いでも、当事者にとっては生命にかかわることもある違いがあるのだと思い知らされた出来事でした。
※色覚異常には「赤と緑が見分けづらい」「青系統の色が分からない」などいくつか種類があったり見分けにくさの度合いも人により異なります。専門的な説明はできませんのでぜひ調べてみてください。
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病院には危険な箇所を警告したり、避難経路を示す掲示物もあると思います。
そうした掲示物こそ誰の目にも留まる必要があるので、作る際にはぜひ気を付けていただきたいと思います。
掲示物を制作する担当者が知っているか否か、思いつくか否か、違いはそれだけです。
※さまざまなハンディを抱えた方がいますが、今回は一例として色覚異常の方を取り上げました。
(4)どのような情報を伝えるか その他
その他の項目としてレイアウトなどがあります。
ゴチャゴチャしているものは内容が伝わりにくいですが、奇抜なデザインが注意を引くこともあります。
私は出来るだけシンプルにするようにはしていますが、それが正解かどうかも正直なところ分かりません。
素人が語れる範疇を超えているのでこのくらいにしておきます。
あとは講座などの場合、有料か無料かなどお金に関する情報は「これでもか!」というくらい分かりやすく書いておくべきだと思います。
揉めて一番面倒なのはお金の問題ですので...。
基本的なことだからこそもっと前から知りたかった
今回は、ポスター作りに頭を悩ませていた私自身が新人時代にできていなかったこと、知りたかったことを書きました。
どんなに手の込んだ掲示物でも、必要な情報を読み取ってもらえなければ意味がありません。
文字の大きさなどは、病院で働く方や高齢者と接する方からすると意識して当たり前のことだと思いますが
色覚異常の方に向けた配色などは意外と見落としている点ではないでしょうか。
通勤中に街中のポスターを眺めていてふと、これって彼(友人)が見にくいって言ってたまんまの配色だなあ...と思ったこともこの記事を書くきっかけとなりました。
あくまで今回は私になじみの深い色覚異常の方を取り上げましたが、その他の病気の方などさまざまな事情を抱えた方がいると思います。
そういった方々全員をカバーすることはできませんが、ポスターを作る皆さんが「誰にとっても見やすい掲示物」という意識を持っていただければ、陰ながら困っている方を減らせるかもしれません。
気になった方はカラーユニバーサルデザインに関するサイトなどをぜひ調べてみてください。
(参考 東京都福祉保健局 東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン)
ありがとうございました!
コスパ良し。お気に入りです。ぜひお試しあれ。 |
ずっと使っていますが使用感いいです。香りもおすすめです。 |
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