【経験談あり】病院にかかってくるセールス・なりすまし電話と対処法【全職員へ】

金曜日, 3月 15, 2024

病院総務

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今回の記事は院内全職員、そして病院に電話をかけてくる業者の方に読んでほしいです。

特に社会人経験の浅い新入職員の方はためになりますよ。

先輩職員の方もガッツリ関係あるのでぜひお読みください。


私は現在大学病院の総務部門で働いていますが、しょっちゅうセールス・なりすまし電話がかかってきます。

はっきり言って仕事の邪魔なので、ここでは総称して「迷惑電話」とします。

病院にかかってくる迷惑電話への対処法

どんな迷惑電話がかかってくる?

用件としてはマンションなどの不動産販売、株式投資などの資産運用のセールスがほとんどです。

次いで人材派遣会社、MRなどからかかってきます。

もちろん病院にとって何の得にもなりません。

迷惑電話による病院の損害・損失とは?

「院内の電話番号の流出」はもちろんですが、

最たるものは「職員の時間が奪われること」です。

迷惑電話をかけてくる業者は、院内の事情など関係なしに電話をかけてきます。

一分一秒を争う急患対応中やオペ中に貴重な時間を奪われることは

医療者にとって、そしてなにより患者にとって大きな損失です。

病院にかかってくる迷惑電話の手口とは

これらの電話をかけてくる業者は、はじめから会社名や所属を名乗ることはありません。

彼らは素性を隠してどこかの部署に電話をかけ、院内のターゲットに電話を転送してもらおうとします。

彼らは様々な「なりすまし」の手口を使ってきます。

そこで、私がこれまで経験したなりすましの手口をその頻度でランク付けして紹介します。

よくある手口 第3位「患者」を装う

「〇〇先生にいつも診てもらっている~~です」

「〇〇さんに電話するように言われました」 など

直電ならまだしも、別部署の職員に取り次ぎが必要な電話をかけさせることはありません。

もし患者に直電を教えている方はやめた方がいいです。

よくある手口 第2位「学会・公的機関」を装う

「〇〇学会なんですが~~」

「〇〇機構のものです~~」 など

オフィシャルな機関だから取り次いでOKだな、と思わせる手口です。

よくある手口 第1位「〇〇〇〇」を装う

ずばり「知り合い」を装うです。

第2位の「学会・公的機関」と僅差ではありますが、こちらが堂々の第1位です。

「〇〇大学〇〇部長の~~ですが」

「〇〇さんの同窓生で〇〇会長をしているんですが」 など

「学会・公的機関」の場合と手口は同じですが、ここでは特に自らが権威ある存在ということを強調してきます。

威圧して焦らせて取り次がせる、という手法が若手には特に有効と思われているようです。

どのように対処すべきか

模範解答からご紹介

一発です。こう伝えてください。

「院内の決まりで外部からのお電話を直接お繋ぎすることはできませんので、折り返しでの対応とさせていただきます」

7〜8割はこれでガチャ切りされて終わります。

大抵の業者は非通知設定でかけてきますが、

折り返しにすると自分(業者)の電話番号がバレるからです。

でもそれだと本当に偉い人だった時が大変なんじゃ…?

と思われるかもしれませんが、私の経験上本当に偉い方だった場合もその対応で怒られたことはありません。

むしろ「ああそうなんだ笑」と快く受け入れてくださる方が多かったです。

どうしても不安ならいったん保留にして一呼吸おいてから

「転送してみたんですが不在でしたので、折り返しで対応させていただきます。」

とアレンジしてください。

※ちなみに語尾は「~の対応でよろしいでしょうか?」よりも「~します。」の方がよいです。

前者だと相手に選択権を与えることになります。


嘘も方便です。

よく分からない外部からの電話をすぐに取り次がないというのは適切な対応です。

自信を持って対応してください。

仮にそのことで怒られたとしても適切な危機管理なので気にしなくてよいです。

あまりないとは思いますが、病院によっては理事や役員、なじみのクリニックから電話があるというところもあるかもしれません。

不安な場合はあらかじめ先輩に聞いておくことをおすすめします。

これまでにあったケース

当院では、特に取り決めはしていませんが迷惑電話があった場合、

その部署から総務に報告が入ります。

大抵は「気を付けてくださいね~情報共有しておきますね~」で終わるんですが、

今回は実際にあった事例をご紹介します。

その1 よくあるケース「二次被害なし」

「変な業者から電話がありました」

「つなぐように言われたので怪しくて切っちゃいました」 など

被害が拡大しなかったケースです。

後者の対応は「それはそれで大丈夫か...?」と思ったりもしますが。笑

保留にして総務に相談してくる職員もいますが、保留時間が長いと大抵切られています。

その2 たまに発生「二次被害あり」

最初に電話を受けた部署で対応を誤って、別の職員に取り次いでしまった場合です。

取り次がれた職員から総務に苛立ちの電話が入って気づくことが多いです。

再発防止のために、どこの部署から転送されたかは確認して、その部署に連絡するようにしています。

電話番号を教えてしまっている場合はもっと厄介です。

個人名と電話番号がセットで流出するので、次回も同様の被害が起きやすくなります。

その3 最悪のケース「〇〇〇〇」

穏やかな午後に病棟から電話があり出てみると

「うちの若い子が研修医の番号を全員分教えちゃったみたいなんですけど...」

私は思わず頭を抱えました。

行政の立入検査の前日21時に手つかずの問題が発覚したとき以来でした。

最悪のケース(大量流出)です。

沢山番号を流出させたのはもちろんですが、しかもそれが研修医の番号...

研修医は迷惑電話等への対応に慣れていない若い人が多いので、今後さらなる被害が広がる危険性があります。

さらに研修医は基本的に2年間で入れ替わるため、その番号をまたすぐに別の研修医が引き継いでしまいます。

さらにこの病棟から話を聞いていると、

「対応に悩んだらしいんですけど、名前も教えてしまったみたいで...」

いやいや名前も分からない相手の番号教えてくれなんてあるかーい!しかも名前も教えたんかーい!

と、ツッコミどころ満載でした。

今後の被害も甚大なので医療職の皆さん、気を付けてください。

なぜ起きてしまうのかを考えた

経験の少なさ

私は「経験の少なさ」だと思っています。

具体的には「外部からの電話を受ける経験の少なさ」です。

私が所属する総務部門や医療連携部門であれば、電話相手の半数くらいは院外からの電話です。

役所や患者、企業などの電話が多く、なかにはセールスやなりすまし電話もあります。

(なりすましも山ほどかかってくるので「迷惑電話があったから総務に報告しとこう!」という対応は間違ってはいないのですが、こちらも対応が必要になるから自部署で留めておいてくれないかなと思ってしまいます...すみません)

ですが、医療職は外部からの電話に慣れていない方も多いと思います。

患者の家族や、一部の公的機関とやり取りすることはあるかもしれませんが、

いつも決まった相手、同じ相手にかけるということが多いのではないでしょうか。

ついつい焦ってしまう気持ちは分かりますが、冷静に考えてみれば

自分の部署に電話を取り次がせることの不自然さに気づくと思います。

※最近の病院はオペレーターや電話交換を設けていることがほとんどだと思うので、そちらにかけるのが自然です

学ぶ機会がない

単純に「学ぶ機会」がありません。

医療職の方は、業務に関係する医療知識は定期的に、率先して学ぶ機会も多いと思います。

ですが、このような電話対応や、一般のサラリーマンが学ぶようなビジネススキルはなかなか学ぶ機会がありません。

医療職は、そうでない私からすると大学等で専門の勉強もしていますし、入職時も比較的オリエンテーションが充実していると思います(もちろん教科書通りにいかない医療現場では当人たちはそうは思わないでしょうが...)。

そういった場でも、パソコンスキルや電話対応についてはフォローされないことも一因かなと思います。

ですので、この記事がその機会になってくれれば本望です。

電話をかけてくる側の方へ

これらの電話をかけてくる方がもしこの記事を読んでくださっているなら、

病院に電話をかけるのをやめてください。

ノルマがあって契約が取れないと社内でひどい扱いを受ける、という話も友人から聞いたことがあります。

ですが、病院では医療職は患者のために大変な思いをして働いています。

医者に連絡したい気持ちは分かりますが、もっと他にも方法はあると思います。

電話はその他の媒体に比べて、対応する側は多くの時間を消費します。

いつか自分やその家族が患者として治療を受ける際にその弊害を受ける可能性があることを考えてほしいと思います。

医療職の方へ(若手・先輩問わず)

誰もが直面する問題です

このような電話をなくすことはなかなか難しいです。

若手の方へのメッセージを強調して書きましたが、

若手であろうが、年次を重ねていようが慣れていないことには上手く対応できません。

ですが、焦らず堂々と対応すればなんてことはないです。

(私は他人の命がかかる現場と皆さんの先輩の方がよっぽど怖いです。)

先輩の方、あなたの体験した迷惑電話などの話をぜひ後輩の方にしてあげてください。

先輩から雑談などで聞いた些細なことが、のちのち大きく効いてくることはよくご存知だと思います。


この記事を読んだあなたが、明日から迷惑電話を軽くいなせるようになっているといいなと思います。

余談...

途中、総務に連絡はしないでくれ~と言いましたが、病院によっては迷惑電話を着信拒否にする契約をしている場合もあります。

マニュアルで報告が求められている場合はきちんと報告をお願いします。

こんな記事も書いています。

ぜひ読んでみてくださいね!







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病院で働いています。 仕事や医療業界について思うことをnote以上に書いていきます。https://note.com/omochi_company

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