国試合格おめでとうございます!
これから病院で働きはじめるあなたに病院で働く事務員から助言を授けます。
※長いので適度に読み飛ばしてください。
↓この記事も参考になると思うのであわせてお読みください。
はじめに知っておいてほしいこと
これからあなたは医療職として働くわけですが、先に伝えておきたいことがあります。
「他職種の存在を忘れないでください」
まだこの言葉の意味が分からない方もいるかと思いますが、
長く働けば働くほど、医師・看護師・薬剤師...など、自分たちの職種の利益を追求することを求められ、それにより自分たちのことしか見えなくなりがちです。
これまで大学等では「チーム医療」という言葉を叩き込まれてきた方も多いかと思いますが、
おそらく日々の忙しさや職種間の軋轢などから、数か月後には看護師なら看護部内、各技師なら各検査部内のことしか考えなくなります。
そんな中でも、他職種の強みを引き出し、そこからも学んでいくという姿勢を持ち続けることをおすすめします。
他職種の知識や事情、考え方を知っているか、いざというときに頼れる存在がいるかどうかは将来のキャリアを大きく左右すると思います。
入職後にやってほしいこと
本題に移ります。
組織で損をしないためには「いかに情報を収集(キャッチ)できるか」が重要です。
私たち事務職は日々、様々な方法で情報を発信しています。
具体的には掲示物や電子カルテの掲示板、配布物、メール、職員専用ページなどです。
しかし、直接診療に関わるものはそんなに多くないので、大部分の医療職はこれらの情報を気にも留めません。
このことにより気づかないうちに損をしていたり、いざというときに頼れる制度を知らず泣き寝入りすることになったり不利益を被ることがよくあります。
まずはルールを知ろう!
ということで、色々な情報のさらに大前提として、自分たちの働く組織のルールを知ることをおすすめします。
病院とはいえ、その他の企業と同じように従業員と雇用主の間にルール、取り決めがあります。
組織で働く以上、そのルールを知ることは必須です。
ですので、入職したらできるだけ早いうちに「就業規則」(「規程集」)を必ず確認してください。
ここに勤務体制、給与、休暇制度などが定められています。
ホームページの職員専用ページや冊子等で確認できます。
※労働者に公表することが定められているので必ず存在しています。
例えばあなたは寝坊して遅刻した経験がありますか?
その時のペナルティも職場によって異なります。
3回繰り返すと1日欠勤扱い、1日でもやると貰えない手当がある、など
こういった決まりを知らないまま働くのって怖くないですか?
たしかに実際の医療の現場では、残業も休日出勤も一般の企業とは全く異なるローカルルールが敷かれており、それを強いられることがほとんどです。
とはいえ、あくまでも大原則は就業規則ですので、もし裁判にまで発展するようなことが起きた場合はこれらの情報が非常に大切になってきます。
本来のルールを知ったうえでローカルルールに馴染むのか、本来のルールも知らないままそれを当たり前として受け入れるのかは、その後の仕事観や転職の判断にも関わります。
ですので就業規則や明文化されたルールはぜひ一度読んでみてください。
分からないことがあったら聞こう!
制度面で分からないことや必要なことは放置せずに聞きましょう!
聞かなければ誰も教えてくれませんし、問題も解決しません。
ポイントは、同じ部署の先輩だけでなく担当部署にきちんと聞くことです(特に事務)。
皆さんは医療職として必要な専門的な知識は熟知されているかと思いますが、
事務手続きや制度については途端に何も分からないくなる方がいます(そうした分業体制ではあるのですが)。
特殊手当や特別休暇を得るために必要な手続きをその前日に申し出てくる、なんてことがよくあります。
こんなことになってしまう原因は、事務室に行けないほど仕事が多忙であることや、管理部門の事務職とはなんとなく距離を感じていたり、行きづらいためかもしれません。
ですが、事務職は皆さんの敵ではありませんので、ぜひ一度気軽に相談してみてください。
必要なことや分からないことがあれば、聞けば丁寧に教えてくれます。
そして大切なことは、できれば何か問題が起きる前ではなく、事前に相談しておくことです。
特に入職したての人は分からないことも多いと思うので、不安なことや分からないことがあれば、できるだけ早く然るべき部門に相談することをおすすめします。
もし態度の悪い事務員がいて「担当はうちじゃありません」と言われたとしても落ち着いて
「失礼しました。では担当部署を教えていただけませんか?」と聞きましょう。
その時は嫌な思いをするかもしれませんが、大切なことは「必要な場所から必要な情報を得ること」と割り切って、平常心で飄々と接することがおすすめです。
福利厚生の制度を知ろう!
また、あなたの勤務先には、あなたを助ける様々な福利厚生があると思います。
それは申請すれば貰える休暇や手当、ローンを組む際の貸付制度や積立制度などです。
病院が契約しているプランにもよりますが、映画が安くなったり、
旅行の際の宿泊に優待プランが利用できたりと、使いこなせばかなりお得です。
これらはせっかく法人単位で契約していても、利用している方をなかなか聞きません。
当然ですが、お得な制度は知らないとなにも始まりません。
定期的に配られる冊子に書いてたりするのですぐに捨てずに目を通すことをおすすめします。
分からなければ、福利厚生を担当している人事などに聞いてみてください。
制度は使おう!
さて、これまで書いた内容を実践していただくだけでも
(一般的な社会人の基礎知識において)あなたは多くの先輩をごぼう抜きにできると思います。
ですが、これらの制度は使わないと意味がありません。
契約を担当する総務・財務などの部署からすると、
「利用率が低い制度=不要な制度」
と捉えられ、コストカットの対象になってしまいます。
ですので、使えるものは全て使う!くらいの意気込みでいてほしいなと思います。
辛いことがあったら
最後に、これは一番大事だと思うので別の章にしました。
伝える勇気を持とう
働くなかで、あなたは様々なストレスを抱えると思います。
自分なりのストレス解消法を見つけ、それでも耐えられそうもない場合は早めに周囲の方に相談してください。
ただし、相談する相手はよく考えるようにしてください。
例えば、最初のうちは職場内の人を信用しすぎない方がいいと思います。
どんな職場にも厄介な人はいます。
そうした人ほど最初は「後輩想いの優しい人」という仮面をかぶっているものです。
あなたにとって重大な悩み事でも、他の人にとっては単なる「面白い話」かもしれません。
病院はある種閉ざされた世界ですので、その中でペラペラ言いふらされたりするとその後が非常に辛くなります。充分気をつけてください。
とはいえ、辛いことが積み重なったときには、きちんと誰かにヘルプの意思表示をしてください。
一時的に「忍耐がない」「わがまま」と思われたとしても、声を上げた人から救われるのが現状です。
逆に言えばいくら我慢していても環境は変わりません。
あの人は我慢強い、頼みやすい、と思われて状況が悪化するリスクすらあります。
然るべき部署に伝えよう
本来、相談をするときの順番はその問題にもよりますが
係長クラス→課長職クラス→部長職クラス
だと思います。
ですが、根が深いパワハラやいじめについては、所属している部門だけでは解決できない(されない)こともあります。
特に、管理職が加害者の味方をする場合は厄介です。
そんなリスクがあるときには、然るべき部署に相談しましょう。
具体的には、「ハラスメント対策部署」に相談しましょう。
勇気はいりますが、根本的な解決を目指すなら必ず利用してください。
加害者はきっとこれまでにも多くの被害者を出しています。
そして、被害者がこれまで泣き寝入りしてきたからこそ
加害者は加害者であり続けているのだと思います。
あなたはこうした告発によって目立ったり、気まずくなるかもしれません。
ですが、あなたに「このまま泣き寝入りしたくない」と思えるパワーが残っているなら、ぜひ相談してみてください。
※注意点として、管理職やこの後に挙げる専門部門に相談した後などは、いつ誰にどのような相談をし、どのような回答がされたかをしっかりと記録しておきましょう。きっとそれがいつか未来の自分を守ってくれます。
もちろん、そんなエネルギーないよ...という方は迷わず逃げてください。
それも立派な生存戦略です。
こちらの記事を参考にしてください。
なぜこんな記事を書こうと思ったか
それは、今はまだあなたがまっさらな状態で、エネルギーに満ち溢れているからです。
春からは慣れない環境での忙しい日々が続くと思います。
その中で、福利厚生制度ないですか?なんて先輩には聞こうとも思わないでしょうし、
知らなければそもそもそんな発想も出てこないと思ったからです。
こうした制度の恩恵を受けられるかは「知っているか知らないか」だけです。
また、人はストレスにさらされ続けると存在するはずの選択肢にも気づけなくなります。
だからこそ、これらの選択肢を「心に余裕のある今のうちに知ってほしい」と思い書きました。
春からは楽しいことも辛いことも沢山経験すると思います。
そのどれもがあなたにとって意味あるものであることを願います。
まだまだ紹介しきれていないことがたくさんありますが、これらの仕組みにも詳しいのが事務職です。
きっと働きだすと、事務職は頼みごとやお小言を言ってくる厄介な部署と思うはずです。笑
ですが、そんな事務にも事務ならではの強みがあります。
こちらの記事で紹介しているのでぜひ読んでみてくださいね!
今年は公開講座を受けてみませんか?(2024/3/9掲載)
【経験談】「病院事務職員の新人教育ってなにが正解なんだろう」20代職員の指導経験から紹介(2021/11/23掲載)
一医大職員が考えた「病院の新設・移転の際の注意点、気を付けてほしい(ほしかった)こと」(2021/11/13掲載)
0 件のコメント:
コメントを投稿